ペロリンの山形旬情報
【Vol.18】うるい
(2013年2月25日)

今回は、山形県の伝統野菜「うるい」について紹介するペロよ!

春の息吹を伝える山菜「うるい」

2月の厳冬の中、春の息吹を伝える山菜の「うるい」。ユリ科の多年草で、地中の茎から繁殖する地下茎の植物です。山形県では、村山地方、最上地方を中心に栽培が行われています。4月の春の訪れと共に出荷時期をむかえる露地栽培のものと、今まさに旬のハウスでの促成栽培のものとがあります。歯ごたえが良く軽いぬめりでクセの無いうるいは山菜の中でも逸品とされています。

山形県では、ある特定の地域で代々伝わってきた珍しい「かぶ」を、漬物などの加工品で食べることができ、赤かぶなど、まさに地域「色」のある漬物は大変おいしいです。先祖代々種を受け継ぐほど、山形ではかぶは親しまれてきました。今回の旬の情報は、山形各地の珍しいかぶを紹介します。

今回の旬の情報はペロリンと一緒に、村山地方の上山市で促成栽培を行っている生産者の粟野さんに取材を行いました。


品種情報

小笹うるい(おざさうるい)

粟野さんが栽培しているうるいは「小笹うるい」と言って、明治20年代後半に、上山市の山から採取してきたうるいを、里で栽培したのが始まりとされる伝統野菜です。戦後に八百屋などに販売するようになり「小笹うるい」として確立してきました。今も昔からの原種を引き継いで栽培しています。

取材当日の気温は氷点下、雪も断続的に降っていました。粟野さんの自宅敷地の奥にあるハウスに向かうと厳重に封印された扉が目に入ります。ペロリンも中がどうなっているか楽しみのようです。

ハウスの中に入ると、図のようにハウスの中にさらにビニールの囲いがあります。そしてハウス内の2列のトンネルにも保温マットが設置されています。ハウスの中は外の気温とは違い、コートを着ていると脱ぎたくなるくらいです。これは、土の中に配置された温水パイプによるもので、保温マットの中は20℃に保たれています。この温度管理のおかげで、真冬でも美味しいうるいが食べられるのです。

中の覆いを粟野さんがめくると、鮮やかな緑色のうるいが出てきました!ペロリンも大興奮のようで、すぐに駆け寄ってしまいました。

最上地方では同様の促成栽培でも、光を遮断して「雪うるい」のブランド名で葉の白さと柔らかさを強調したうるいを生産しています。粟野さんの小笹うるいも光を保温マットで遮断していますが、なぜ緑色なのでしょうか?

粟野さんからは「保温マットをはずして日光に当てているからだよ」と当然の答えが。でも、この日光を当てるという行為は難しい管理が必要とのこと。日光に当てすぎると硬くなってしまうし、氷点下が続くこの時期はハウスの中とはいえ、保温マットをはずす行為は、寒さに弱い葉がやられてしまう可能性があるのです。

次に地下茎の植物ということで、特別に茎と根を見せていただきました。すごくフカフカした土の中から真っ白な茎が出てきました。定植は4月から露地の畑に行い、株を増やして12月に茎と根の部分を掘り出し保管しておきます。ハウスには12月末から植え始め、そのころに植えたものが、今日のうるいということです。出荷は1月末から3月上旬で、4月にも出荷する場合があるそうです。

最後に粟野さんに露地栽培もあるなか、大変な手間をかけ、なぜ促成栽培の小笹うるいを作っているのかについてたずねました。「促成栽培のうるいは柔らかく、くせがなくておいしいからだよ」と、ペロリンと納得の回答でした。

小笹うるいについて
JAやまがた南部営農センターで取り扱っています。電話023-673-3108


おいしい食べ方

素材の良さがでる、おひたしなどで食べていただくのがお勧めです。

うるいのおひたし

●作り方
1.うるいは熱湯でサッと茹で、冷水にとる。
2.水気をしぼり、3〜4cm程度に切る。
3.器に盛り、かつおぶしやクルミをかけて、しょうゆをかけていただく。


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