どうしてダチョウなの?
僕、ダチョウって動物園でしか見たことがないペロよ。南の国に住んでるトリさん……って思ってたけど、どうしてここ朝日町でダチョウ産業に取り組むことになったんですか?大東建設株式会社畜産部・(有)山形朝日オーストリッチ産業センター常務取締役の鈴木敏夫さんです。
そもそもは平成9年、ある新聞に載っていた雪国でのダチョウ飼育についての記事を読んだ大東建設の社長さんが、「どうして雪国に、南半球の鳥であるダチョウが?」と興味を持ったのが始まりだったのだそうです。そしてダチョウについて調べていくうちに、寒暖の差が激しい地域でも飼育できる環境適応能力の高さ、しかも飼育によって環境に負荷がかからないこと、また食肉を始め各種加工製品への展開等、丸ごと一羽捨てるところのない「ダチョウ・パワー」に「これからの時代の鳥だ!」とすっかり魅せられてしまったんだって。
また、朝日町は高齢化が進んでいるため離農して荒廃している遊休農地が多く、それを借りて委託飼育という形で農地を有効利用していけるのではないかという、町の活性化を願う強い気持ちもあり、ダチョウ産業への参入を決めました。
そして平成10年、はるばる南アフリカから、血統書つきの親鳥9羽がジャンボジェット機に乗ってやってきました。
と、鈴木さんは当時を振り返ってお話を聞かせてくれました。ダチョウの親鳥は1年に卵を40個生み、その約6割が有精卵です。そこから40日間かけて無事に孵化するのは3割、15個ぐらい。
卵から孵化させるまで、そして孵化から3ヶ月までの飼育が難しく、気温30度を保たないと死んでしまうので、夏でもヒーターを付け床暖房を入れたところで飼育しています。
6〜7ヶ月ぐらいまで育てば、皮下脂肪も付いてくるので自然の温度変化にも対応できるようになり、放牧しても問題なく育つようになるけど、4ヶ月ぐらいまではきちんとした温度管理が必要なんだそうです。
かつてはストレスから胃が働かなくなって死んでしまったヒナも多かったんだって。
でも今では、すっかり「ダチョウ博士」の鈴木さんだペロ。 |
聞いてびっくり!ダチョウパワー
鈴木さん、ダチョウのお肉って、どんなものなのなんですか?
牛肉や豚肉と比べると、いちばん目を引くのはとっても低脂肪で低カロリーだということ。だけど身体に必要な良質なたんぱく質や鉄分は豊富に含まれています。
おなか回りの気になるお父さんにも、ダイエット中のお姉さんにも、いい筋肉をつけたいスポーツマンにもぴったりのお肉なんだペロね。
生食用のほか、「ミ・フトランゼ」というブランド名で、サラミやウインナー、フランクフルトなどの加工食品も開発しています。
鈴木さん、「フトランゼ」って、なんだかフランス語みたいな響きだペロね。
なるほどー! 低脂肪のダチョウ肉にぴったりの、おしゃれなネーミングだペロね。
サラミには金ラベルと銀ラベルの2種類があり、金ラベルのサラミは朝日町特産のワインに1週間から10日間漬け込んだもの。ワインの芳醇な香りが、ぷぅ〜んと鼻をくすぐるペロよ。 |
▲これが『ミ・フトランゼ』
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「捨てるものなし」まるごと使えてユースフル!
「ミ・フトランゼ」ブランドの加工食品のほかにも、人間の皮脂と組成が非常に似ている皮下脂肪の脂肪質から「メンコイ素肌」シリーズとして石けんやクリームも開発しています。
ダチョウの脂肪質はとても良質で、クリームはとても人の肌になじみやすく、浸透性があり保湿効果も高いので、寝たきりのお年寄りの床ずれの痛みを和らげたり、予防する効果もあるとか。 |
▲オリジナル開発商品の「メンコイ素肌」コスメと「ミ・フトランゼ」のおいしいサラミ。
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ダチョウは、モノとしては捨てるものがないのだそう。食用のお肉や加工食品になるほか、皮がバッグや靴などの皮革製品の材料になっているのは、僕も知っているペロよ。「オーストリッチ」って言ったら高級皮革製品の代名詞だペロ。
また、卵の殻は「エッグアート」っていう素敵な工芸品に生まれ変わります。 |
▲オーストリッチの皮革製品は高級感があって人気だペロね。
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へぇ〜、ダチョウさんってすごーい!医学のためにも役立っているんだペロね!
わーい、行く行く!
ダチョウさんとご対面!
鈴木さんと一緒に、「朝日町オーストリッチ展示圃」にやってきました。山合いの、静かでのどかな風景の中に……あ〜、いるいる、ダチョウさんの群れ発見!
14〜20ヶ月ぐらいのダチョウが、常時100羽ぐらい放牧されているそうです。
普通、ダチョウの親鳥は2メートル50センチぐらいになるんだけど、ここにいるのは家畜用として背を低く改良したアフリカンブラックという品種なんだって。でも、背が低い品種といっても、それでも180センチはあるペロよ。
広い敷地は、柵でいくつかの区画に区切られています。草食のダチョウさんは豆の葉っぱやクローバーが大好きで、地面に生えているクローバーをどんどん食べて丸坊主にしちゃいます。だから、いつも不自由なく食べられるように、草の生育具合を見ながら計画的に放牧区画を移動しています。
それにしても、ダチョウさんたち、みんな静かだペロね。
柵のそばまで行ってみると、ダチョウさんたちも近寄ってきます。生まれた時から人の手によって飼育されているから、人間に対する恐怖心が全然なく、とっても人なつっこい。僕たちが歩いている横を、ダチョウさんたちも並んで一緒について来ます。
ぺたんと長い足を折って座り、長く伸ばした首も地面につけて、両羽をパフパフパフ〜とリズミカルに動かしているダチョウさんがいるペロよ。
鈴木さん、このダチョウさんは何をしているの?
おいしくてヘルシー「ベジタブルミート」
管理課長の熊谷良作さんにお話を伺いました。
ダチョウさんたちのお世話でいちばん気を使うことって何ですか?
ダチョウそのものは日本全国、ほかの県でも飼育されているけど、朝日町のダチョウ飼育の大きな特徴は、孵化後4ヶ月を過ぎてから与える餌には一般の配合肥料は使わず、地元でとれる農産物を食べさせているってこと。
そう、朝日町といえば「りんご」!
「りんご温泉」なんておいしそうな名前の温泉もあるペロね。
ここでは、生のりんごを与えているほか、普通は産業廃棄物として処理してしまうりんごジュースをしぼった後の果肉に、おからと米ぬかを加えて水分調整し、乾燥牧草と乳酸菌を加えて発酵させたオリジナルの餌を作っています。
だから、地元のおいしいものをたっぷり食べて育った、グルメな朝日町のダチョウさんたちのお肉は、やわらかい上に甘みがあってジューシー。他県の生産者の方からも「ウチの肉とは違うね」って、肉質の違いを高く評価されているそうです。
食の安全性にこだわり、地域の特性を生かし、創意工夫を重ねて餌から差別化を図ることで、「ここ朝日町で育ったものならでは」とお肉そのものをブランド化しています。
営業担当の鈴木正浩さんです。
完全草食のダチョウのお肉は別名「ベジタブルミート」とも呼ばれています。草原の風をそよそよと揺らす風のような、とってもさわやかなイメージの名前だペロよ。
僕も「お刺身」をいただいてみました!
見た目は牛肉の赤身のよう。つやつやとしたきれいな赤身です。
まずは、何もつけずに、モグモグモグ……あ、やわらかーい……うんうん。
ぜんっぜんクセや臭みがないペロよ。牛肉のお刺身みたいに脂がのってて口の中でとろけて……っていうのとはまた違うペロね。
脂がないから、最初、口に運ぶとまずはお魚のお刺身のようなさっぱりとした食感。そして、やわらかい赤身を噛んでいると、ほわぁ〜んと肉そのものの甘みとうまみがお口いっぱいに広がってくるペロ。
おろしにんにくを添えたり、わさび醤油で食べるのもおいしいね。お父さんの晩酌のお供に、こりゃたまらんペロ〜〜っ!
マリネなんて、簡単に作れるのに見た目にもいろどりがきれいだし、とってもおしゃれな食べ方だペロね!おうちで素敵なレストラン気分を味わえちゃいそうだペロよ。さっぱりしているから脂身が苦手な人でもおいしく食べられるね。
小さいうちから地元産のダチョウ肉に親しんでほしい……と、ミンチにしてハンバーグにしたり、フランクフルトやソーセージなど、朝日町の小学校の給食にも取り入れられています。
もちろん、子どもたちにも大好評!
こんなにおいしいお肉が給食で食べられるなんて、朝日町の子どもたちがうらやましいペロ〜。小さい時から地元のおいしいもので育った子どもたち、きっと、そんな「おいしい記憶」は、大きくなってもふるさとの誇りとして心の中の宝物になっていくに違いないペロね。
ダチョウ肉のお刺身やタタキ、サラミなどの加工食品は地元のスーパーでも取り扱っています。週末になると、町外からわざわざ買いに訪れるお客さんの姿も多く見受けられます。
と話してくれたのは、ダチョウのお肉を取り扱う朝日町のスーパー(株)ヒグチ店長の渋谷政雄さんです。「地元の特産品」と胸をはって紹介できるのも、安全性とおいしさに絶対の自信があるからなんだペロね。
「朝日町ならでは」にこだわった、朝日町のダチョウ産業。初めて体験したベジタブルミートのおいしさ、そして飼育に携わるみなさんの「地元にこだわる」思いに大感激の僕でした。
りんごにワインにダチョウのお肉、これからも「おいしい朝日町」をどんどん発信していってくださいね!